琴錦 功宗・対戦相手の記録(カモと苦手)

かつて私は、「F1相撲」「史上最強の関脇」の異名を取った元関脇・琴錦(現・秀ノ山親方)が一番の贔屓力士でした。押して良し、組んで良し、かつ気迫溢れる取り口がとても印象に残っています。押す力、寄る力、投げの強さ、差し方の巧さ、どれを取っても見応えのある取り口で、相撲という競技の面白さ、奥深さを見せてくれた力士でした。特に、初優勝の時に舞の海を若さ溢れる勢いで突き飛ばした相撲や、2回目の優勝の時に貴乃花を熟練の技で破った相撲は、今でも心に残っています。そのため、当サイトの大相撲コンテンツは「大相撲海峡部屋」と銘打って、北海道と青森県出身力士を応援しているページではありますが、群馬県出身の琴錦も特別に掲載しています。ここでは、琴錦が戦ってきた力士(幕内経験者のみ)を振り返ってみたいと思います。

☆カモ10傑☆ 〜琴錦に屈した力士達〜

最高位が幕内以上で通算で5回以上対戦し、勝率が高い力士を順に挙げた。同率の場合は、勝利数が多い方を上位とする。

順位力士名通算幕内
1小城錦(小結)5-0(1.000)5-0(1.000)
1時津海(前3)5-0(1.000)5-0(1.000)
3北勝鬨(前3)8-1(.889)5-1(.833)
4鬼雷砲(前4)6-1(.857)1-1(.500)
5大翔鳳(小結)10-2(.833)10-2(.833)
6安芸乃島(関脇)40-10(.800)39-9(.813)
7隆三杉(小結)12-3(.800)12-3(.800)
8駒不動(前13)4-1(.800)1-0(1.000)
8智ノ花(小結)4-1(.800)3-1(.750)
8蔵間(関脇)4-1(.800)対戦なし
8大刀光(前15)4-1(.800)対戦なし

「カモ10傑」をざっと見ると、四つ相撲の力士が多い。突き押し相撲は大翔鳳、隆三杉ぐらいであろうか。小城錦は琴錦同様もろ差しを得意とする力士だが、立ち合いからのスピードが明暗を分けたか。時津海はまるでお手本のようなキチッとした右四つの相撲を取る力士で、時津海は丁度頭角を現してきた時、琴錦は下り坂に差し掛かっていた時に対戦しているが、時津海が歯が立たなかったのはやはりスピードの違いだろうか(正直言うと、小城錦戦と時津海戦は1番も覚えていない)。

ただ、ランキングでは6位になっているが、安芸乃島戦の通算40勝が一際目立つ。幕内39勝は同一カードの最多勝記録だが、恐らく通算でも最多勝だろう。しかし事実上最大のカモも、最初と最後は意外にも黒星だった。初顔合わせは昭和62年夏場所。東幕下7枚目で5勝1敗の琴松沢は西幕下14枚目で6戦全勝の安芸ノ島に敗れ、幕下優勝と新十両をアシスト?してしまっている。しかし、その後は出足の鋭さと差し身の巧さで、脇が甘い安芸乃島を圧倒し、通算663勝のうち安芸乃島1人から40勝を稼ぎ出した。琴錦同様長く三役で活躍し、史上最多の三賞19回、金星16個を獲得した実力者・安芸乃島に、「あいつさえいなければ大関になれた。優勝も出来た・・・。」と嘆かせたものである。しかし、最後の対戦となった平成12年春場所4日目、敗れた上に右肘を負傷して翌日から休場、さらに翌場所十両に陥落してその2場所後に引退したので、結果的には安芸乃島戦が幕内最後の土俵となった。

最後に付け加えておくが、私は安芸乃島も好きだった。投げの打ち合いでは決して手を付かずに顔から落ち、怪我をしても痛そうな素振りを見せない、プロ根性を感じさせる力士だった。まるで土俵の中から生まれてきたかのような雰囲気を持った、力士らしい力士だった。現在は高田川部屋を継承して後進の指導に当たっている。

★苦手10傑★ 〜琴錦に立ちはだかった力士達〜

こちらも最高位が幕内以上で通算5回以上対戦し、勝率が低い力士を順に挙げた。

順位力士名通算幕内
1騏乃嵐(前2)1-7(.125)1-3(.250)
2恵那櫻(前1)1-4(.200)1-4(.200)
2闘牙(小結)1-4(.200)1-4(.200)
4武双山(大関)7-22(.241)7-22(.241)
5旭富士(横綱)2-6(.250)2-6(.250)
6曙(横綱)11-30(.268)11-30(.268)
7旭豊(小結)2-5(.286)2-5(.286)
8貴乃花(横綱)14-34(.292)14-34(.292)
9出島(大関)3-7(.300)3-7(.300)
9千代大海(大関)3-7(.300)3-7(.300)

「苦手10傑」は、さすがに横綱と大関が3人づつ入った。「カモ10傑」では四つ相撲の力士が多く入ったのに対し、「苦手10傑」では曙、武双山、出島、千代大海など押し相撲の力士が目立つ。また、対戦回数が少ないものの、闘牙や旭豊に苦戦しているのは意外である。旭豊は長身で投げが強く、内無双や肩透かしなど小技も持ち合わせていた力士でしばし上位を食い、曙と貴乃花から2個づつ金星を奪っている。

1位は三役経験のない騏乃嵐(騏ノ嵐)だった。今は無き押尾川部屋の初の子飼い関取で、大関を期待される有望力士だったが、幕内上位に上がった昭和58年1月場所前に左膝を負傷し、大成を阻まれた。しかし、その怪我で幕内から三段目まで陥落しながら、4年近くかけて再入幕を果たした不屈の精神力の持ち主である。琴錦はこの騏乃嵐に、新十両だった昭和63年春場所3日目の初顔からなんと6連敗、7回目の対戦でようやく勝ったものの、通算1勝7敗に終わっている。因みに、新入幕の初日にも騏乃嵐に敗れている。19歳で新十両、20歳で新入幕と順調に出世してきた若武者琴錦に、不死鳥騏乃嵐が大きく立ちはだかったのである。騏乃嵐さんは現在、東京都内でちゃんこ屋さんを経営されている。

幕内力士対戦リスト

上で挙げたカモと苦手も含めた、最高位幕内以上の力士全員の対戦リスト。通算勝率が高い順に並んでいます。

力士名通算幕内備考
小城錦(小結)5-0(1.000)5-0(1.000)カモ1位
時津海(前3)5-0(1.000)5-0(1.000)カモ1位
巴富士(小結)4-0(1.000)4-0(1.000)
高望山(関脇)2-0(1.000)2-0(1.000)
若ノ城(前6)2-0(1.000)2-0(1.000)
前乃臻(小結)2-0(1.000)対戦なし対戦時は前乃森
大徹(小結)2-0(1.000)対戦なし
玉龍(小結)2-0(1.000)対戦なし
竹葉山(前13)2-0(1.000)対戦なし
薩洲洋(前1)1-0(1.000)1-0(1.000)
富士乃真(前1)1-0(1.000)1-0(1.000)
時津洋(前4)1-0(1.000)1-0(1.000)
和歌乃山(小結)1-0(1.000)1-0(1.000)
五城楼(前3)1-0(1.000)1-0(1.000)
闘竜(関脇)1-0(1.000)対戦なし
玉乃島(関脇)1-0(1.000)対戦なし対戦時は玉ノ洋
若光翔(前14)1-0(1.000)対戦なし
北勝鬨(前3)8-1(.889)5-1(.833)
鬼雷砲(前4)6-1(.857)1-1(.500)
大翔鳳(小結)10-2(.833)10-2(.833)
安芸乃島(関脇)40-10(.800)39-9(.813)
隆三杉(小結)12-3(.800)12-3(.800)
駒不動(前13)4-1(.800)1-0(1.000)
智ノ花(小結)4-1(.800)3-1(.750)
蔵間(関脇)4-1(.800)対戦なし
大刀光(前15)4-1(.800)対戦なし対戦時は太刀光
起利錦(前2)6-2(.750)5-2(.714)
朝乃翔(前2)5-2(.714)5-2(.714)
寺尾(関脇)21-9(.700)20-9(.690)幕内で不戦敗1
豊ノ海(前1)7-3(.700)7-1(.875)
水戸泉(関脇)13-6(.684)13-6(.684)幕内で不戦勝1
三杉里(小結)20-10(.667)20-10(.667)
孝乃富士(小結)4-2(.667)4-2(.667)
両国(小結)4-2(.667)4-2(.667)
北天佑(大関)2-1(.667)2-1(.667)
浪之花(小結)2-1(.667)2-1(.667)
巌雄(前1)2-1(.667)2-1(.667)
湊富士(前2)7-4(.636)7-4(.636)同期生
栃乃和歌(関脇)26-15(.634)26-15(.634)
栃司(関脇)5-3(.625)4-2(.667)
花ノ国(前1)5-3(.625)5-3(.625)
大翔山(前2)5-3(.625)5-3(.625)
朝乃若(前1)5-3(.625)5-3(.625)
大善(小結)8-5(.615)6-2(.750)
貴闘力(関脇)28-18(.609)28-18(.609)
若翔洋(関脇)6-4(.600)6-3(.667)
陣岳(小結)3-2(.600)3-2(.600)
小城ノ花(前2)3-2(.600)2-1(.667)
敷島(前1)3-2(.600)2-1(.667)現役最後の相手
舛田山(関脇)3-2(.600)対戦なし
魁皇(大関)16-11(.593)16-11(.593)大関時代は対戦なし
剣晃(小結)7-5(.583)7-5(.583)
久島海(前1)12-9(.571)11-7(.611)他に十両優勝決定戦で1敗
栃乃洋(関脇)4-3(.571)4-3(.571)
濱ノ嶋(小結)5-4(.556)5-4(.556)
旭鷲山(小結)5-4(.556)5-4(.556)
玉春日(関脇)7-6(.538)7-6(.538)
小錦(大関)12-12(.500)12-12(.500)
春日富士(前1)5-5(.500)5-1(.833)
巨砲(関脇)3-3(.500)3-3(.500)
板井(小結)2-2(.500)2-2(.500)
佐賀昇(前14)2-2(.500)対戦なし
大潮(小結)1-1(.500)対戦なし
騨乃花(前1)1-1(.500)対戦なし
益荒雄(関脇)1-1(.500)対戦なし
常の山(前12)1-1(.500)対戦なし対戦時は西乃龍
大若松(前13)1-1(.500)対戦なし
玉力道(前8)1-1(.500)対戦なし
貴ノ浪(大関)19-21(.475)19-21(.475)幕内で不戦敗1
霧島(大関)9-10(.474)9-10(.474)
旭道山(小結)9-10(.474)7-8(.467)
土佐ノ海(関脇)8-10(.444)8-10(.444)
逆鉾(関脇)3-4(.429)3-4(.429)
若瀬川(前1)3-4(.429)3-4(.429)
舞の海(小結)3-4(.429)3-4(.429)
蒼樹山(前1)3-4(.429)2-3(.400)
栃東(大関)5-7(.417)5-7(.417)大関時代は対戦なし
武蔵丸(横綱)18-26(.409)18-26(.409)横綱時代は白星なし
龍興山(前5)2-3(.400)1-0(1.000)
若乃花(横綱)16-25(.390)16-25(.390)金星2、幕内で不戦敗1
北勝海(横綱)3-5(.375)3-5(.375)金星1(=初金星)
肥後ノ海(前1)3-6(.333)3-6(.333)
大至(前3)1-2(.333)1-0(1.000)同期生
大碇(前11)1-2(.333)1-0(1.000)十両で不戦敗1(引退時)
若の里(関脇)1-2(.333)1-1(.500)
千代の富士(横綱)1-2(.333)1-2(.333)金星1
太寿山(関脇)1-2(.333)1-2(.333)
星岩涛(前14)1-2(.333)対戦なし
出島(大関)3-7(.300)3-7(.300)
千代大海(大関)3-7(.300)3-7(.300)
貴乃花(横綱)14-34(.292)14-34(.292)金星3、幕内で不戦勝1
旭豊(小結)2-5(.286)2-5(.286)
曙(横綱)11-30(.268)11-30(.268)金星1、幕内で不戦勝1
旭富士(横綱)2-6(.250)2-6(.250)
武双山(大関)7-22(.241)7-22(.241)大関時代は対戦なし
恵那櫻(前1)1-4(.200)1-4(.200)
闘牙(小結)1-4(.200)1-4(.200)
騏乃嵐(前2)1-7(.125)1-3(.250)苦手1位
大乃国(横綱)0-3(.000)0-3(.000)
貴ノ嶺(前12)0-3(.000)対戦なし
多賀竜(関脇)0-2(.000)0-2(.000)
雅山(大関)0-2(.000)0-2(.000)大関時代は対戦なし
海鵬(小結)0-2(.000)0-2(.000)
鳳凰(関脇)0-2(.000)対戦なし
旭豪山(前9)0-2(.000)対戦なし同期生
栃栄(前1)0-2(.000)対戦なし
十文字(前6)0-2(.000)対戦なし
安芸ノ州(前9)0-1(.000)0-1(.000)
栃赤城(関脇)0-1(.000)対戦なし
大豊(小結)0-1(.000)対戦なし
玉海力(前8)0-1(.000)対戦なし対戦時は玉桜
大乃花(前13)0-1(.000)対戦なし
火華司(前11)0-1(.000)対戦なし
濱錦(前11)0-1(.000)対戦なし

通算勝率と幕内勝率を比べてみると、ほとんどの力士はそう大差ないが、通算5勝5敗の春日富士は例外である。幕内では5勝1敗と優勢なのに、十両以下ではなんと4戦全敗なのである。幕下時代の昭和62年秋場所4日目に初顔で当たってから5連敗を喫したが、初めて勝った時に弱点を掴んだのか、折り返し5連勝してタイに持ち込んでいる。この間、新十両だった昭和63年春場所2日目に、関取初黒星をこの春日富士から喫している。

もう1人、通算1勝2敗の大至にも触れておきたい。昭和59年春場所初土俵の同期生で、序ノ口に付いた夏場所12日目に対戦して敗れている。しかし、雪辱を果たす機会はなかなか訪れず、2度目の対戦はなんと69場所後の平成7年九州場所2日目で、今度は琴錦が勝っている。3回目は引退した前の場所の平成12年名古屋場所5日目に対戦して敗れ、これが最後となった。大至さんは現役引退後、準年寄としてしばらく協会に残っていたが、現在は歌手として活躍されている。

最後に、このページのデータの多くは月刊『相撲』(ベースボール・マガジン社)を見て調べましたが、平成6年以前に対戦した力士ついては、星取表を見て手作業で数えた力士も少なくありません。もし間違っている所がありましたら、是非掲示板メールでお教え下さい。宜しくお願い致します。

最後にもう一言、「朝青龍との対戦が見たかった・・・」

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